投稿者: Noda's Rockin' Blues (2ページ目 (3ページ中))
ほうじ茶もう一杯 vol.3
2022年7月1日(金)
18:00 開場
名古屋市新栄・ローリングマン
料金 : 投げ銭(1オーダー要)
LIVE
アジマカズキ
そらしの & うかいありな
orange blossom
DJ
Noda’s Rockin’ Blues (珈琲マインド)
フライヤーイラスト : たま
僕の音楽の拠り所
確か2005年頃だったと思う。
とにかく日常は音楽中心、給料の大半をCD購入につぎ込んでいた僕は、ついに自身の音楽ホームページを立ち上げた。
その名は「音楽 Web 茶房 “珈琲マインド”」
70年代のフォークロック・バンド、銀河鉄道の曲名から名付けたそのサイト名は、現在は僕の運営するCDショップに流用させてもらっている。
そこから遡る2年ほど前に、妹が学生時代に使っていた富士通のバカでかくバカ重いデスクトップパソコンを貰い受け、僕はパソコンを始めた。
色々調べながら自宅にインターネット(ADSL!)を引き、妹の旦那の指導で Windows Me の OS をインストールして何とか稼働させたパソコンは、動作が非常に重くゲームはおろか動画の再生もままならないような、当時の Windows XP が主流の時代からみてもヒドいシロモノだったと思う。
しかし、世界中のウェブページとつながったインターネットはもちろん、音楽データを圧縮してハードディスクに保存したり、カセットテープやMDのように自分の好きな曲を詰め込んだ CD-R を作成できたり、そのスーパー・ロースペック・パソコンでなし得ることでも、音楽好きの僕を感動させるには充分だった。
その当時の2000年代前半ぐらいは、全国的にもパソコンの個人利用率が急増しだした頃で、ブログやホームページの開設がブームとなっていた時期だ。
今は懐かしき mixi がブームとなる前であり、SNS と呼ばれるサービスはまだ一般的に知られていなかった。
有志が音楽を語るややマニアックなページをよく閲覧していた僕は、次第に「僕にもこれできないかな?」と思うようになる。
とは言え、その当時のスーパー・ロースペック・パソコンではさすがに力量不足。なので、妹に使っていないデジカメを借り、虎の子の CD をヤフオクでせっせと売って、理想の自作パソコンを作るべく購入資金を貯めていった。
そして2005年の愛知万博の年の春、ベアボーンキットやモニターやパーツなどを揃えて作ったパソコンに、念願の Windows XP をインストールし、僕の新たなパソコン生活は幕を開けた。
図らずも、それは僕が今につながる家具職人としての修行を開始した時期と被る。
ちなみに僕はこの後4回ほどパソコンを買い替えているけど、それはすべて自作のデスクトップで、メーカー製のものをメイン使用として買ったことは1度もない。 (サブ使用で ASUS のミニノートを中古で買ったことはあるが)
当時の個人のホームページは、ホームページビルダーなどのソフトを使うか、HTML というプログラミング言語でテキストを書いて作るかのどちらか。サーバーがテンプレートを用意してくれる今のような環境では無かった。
どういったことでも可能な限りお金をかけないことを是とする僕は、Windows の標準ソフトである「メモ帳」だけで作れる HTML を入門書でマスターし、ようやく夢に見た自身のホームページ「音楽 Web 茶房 “珈琲マインド”」を立ち上げたのだった。
しかし、立ち上げて半年ほどでページは停滞していった。
飽きたのではなく、家具職人の修行が過酷であったためだ。
長い労働時間もさることながら、自分の仕事上の勉強もあり、とても片手間でページ作りを行える状況では無くなっていった。
程なくして僕はページのデータを今は無き「Yahoo!ジオシティーズ」から引き上げ、ホームページを閉鎖した。
それから15年後、ページのデータをそのまま保存し続けていた僕は、コロナが猛威を振るい始めた2020年の5月に、加筆と訂正を施した上で「珈琲マインド」を復活させた。
そのまた2年後の2022年、7月に新たにここ「Peaceful Easy Feeling」を立ち上げた。
当然ながら、パソコンを巡る環境は15年前と比べ激変していて、このサイトについては現在の個人ホームページ運営の主流である WordPress を利用して作成している。
昔はせいぜい画像データや文字にハイパーリンクを貼り付けるくらいが関の山だったが、今はページ内に You Tube 動画や Spotify や SoundCloud のプレーヤーを設置しての視聴が可能となっていて、音楽についてのページを作るにあたっては実に申し分ない。
もちろん、僕自身の環境もあれからだいぶ変わり、家具職人の修行を終えた今は個人で仕事をしながら音楽イベントの主催やCDショップの運営をしている。
そのへんの活動を包括した「和みの音楽ポータルサイト」として、新たにホームページを立ち上げた次第だ。
ちなみに、このサイト名はイーグルスの有名なナンバーから拝借した。
言葉の響きが美しく、曲自体もドゥービー・ブラザーズの『Listen To The Music』や C.C.R の『Have You Ever Seen The Rain』と並ぶ、70年代アメリカンロックを代表する、穏やかでエバーグリーンな名曲だ。
今ではブログも主流ではなくなり、若者は SNS からも離れていく時代である。
上記で上げた有志のマニアックな音楽ページも、久々に訪れてみたら最終更新日が10年以上前であったり「404 Not Found」となっていたりで、時代の流れとはいえ少し寂しい。
個人のホームページでの情報発信などもはや時代錯誤なのかもしれないが、僕にとってはホームページこそが一国一城であり、育てていく我が家だ。
現在15回の開催を数える主催イベント「コーヒーもう一杯」と同様に、この「Peaceful Easy Feeling」は、僕の音楽の大切な拠り所になっていくことだろう。
とは言え、ちょうどひと月前に立ち上げたこのサイト、フジロック直前で個人的にバタバタしていたので、オープン以降更新がおざなりになっていたが、今後はショップやイベント情報以上に、僕が紹介したい名盤・名曲・ミュージシャンのテキストをどんどんアップして、ちょっとしたディスクガイドになるような、音楽のデータベース的な場所にしていきたいと思う。
どうか、気長に見ていただきたい。
2022.8.21
コーラスウォーター
続きを読む佐野元春
Biography
1956年生まれ。80年デビュー。
82年に「サムデイ」の大ヒットによりブレイクを果たした後、単身渡米して制作した革新的作品『Visitors』では日本語でのラップに取り組み、英国レコーディング作『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』、ウッドストック・レコーディング作『THE BARN』など、常に音楽スタイルを更新し続けて幅広い世代からの支持を得ている、唯一無二のミュージシャン。
活動歴40年を過ぎた現在でも THE COYOTE BAND を率いて、ライブ活動や作品制作など精力的に活動中。
僕が佐野元春を知ったのは、高校の頃にドラマの主題歌としてヒットした『約束の橋』だった。
当時のタイアップ曲にしては異質な、端正ながらもかすれ声の、少しぶっきらぼうな歌い回しがワイルドなその曲は、当時の日本のヒットチャートに氾濫していた当たり障りないヒット・ソング(J-POPという名前はまだなかった)と違って、とてもクールで粋に思えた。
早速、CDレンタルで借りてきて聴いてみると、件の曲以外の楽曲も素晴らしいものばかりで、あっというまに彼の虜になってしまった。
近年、日本の80年代のシティ・ポップが世界的にも再評価されて久しいが、ご多分に漏れず佐野元春もその文脈で語られることが多い。
代表曲の「サムデイ」はもちろん、「二人のバースデイ」「バルセロナの夜」「NIGHT LIFE」「ワイルドハーツ」など、シティ・ポップ的な名曲も多数あるけど、彼の楽曲にはやっぱりどこか型にはまらないアウトローな雰囲気がある。
ドライブのBGM的にさらっと聴くのではなく、なにか心をかきたてられるものがあるのだ。
ボブ・ディラン、ブルース・スプリングスティーン、ルー・リード、エルヴィス・コステロ、ニック・ロウ…
様々な偉大なミュージシャンのシルエットが透けて見える素晴らしい名曲群の数々は、いずれもインディペンデントなスピリットで溢れている。
デビューから40年以上経ち、常にフレッシュな音を届けてくれる佐野元春の作品は名盤だらけだ。
エピック時代の初期3枚はもちろん、日本語ラップの先駆けとなった『Visitors』、エルヴィス・コステロのバックバンドと組んだ英国録音作『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』、ウッドストックの伝説的なスタジオでザ・バンドのメンバーとレコーディングした『THE BARN』、近年のメイン活動・THE COYOTE BAND と作り上げた大人のロックンロール・アルバム『BLOOD MOON』など、枚挙に暇がない。
その中でも僕のフェイバリットは、都会をサヴァイヴするためのサウンドトラック『Heart Beat』と、英国的な端正な雰囲気が心地よい『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』、そしてアーシーな音作りと洗練さが絶妙な『THE SUN』の3枚だ。
ミュージシャンはもちろん、俳優や芸人やラジオパーソナリティーなど、クリエイティブな人達に彼の熱烈なファンが多いことは、よく知られている。
その感じはとても良くわかる。彼の名曲を聴いていると、何かしらインスピレーションを得られるような気がするからだ。
しかし、そこに留まらず彼はもっと大衆的な人気を得てもおかしくない。
個人的には、山下達郎や桑田佳祐に並ぶ、ジャパニーズ・ミュージシャンの重鎮だと思う。
初めて聴いて以来、僕にとって常に憧れの存在である佐野元春。
もっと世間的にも正当な評価を得られるべきだと、いつでも僕は思っている。
2022.6.6