コーラスウォーター

Biography

名古屋大学ブルーグラス同好会のサークル内で結成。
定期演奏会などのサークル活動を経て、2019年より名古屋市内のライブハウス等での演奏活動を開始。
2019年に1st『おいしい水』2021年に2nd『めがねと水玉』をリリース。
米国の伝統音楽であるブルーグラスと現代的なポップスを融合させた”ブルーグラスポップ”を目指す。

僕が彼らのことを最初に知ったのはツイッターだった。
名古屋の鶴舞K.Dハポンのオープンマイクに出演したときのライブ映像は、ブルーグラスという米国伝統音楽の形態をとりながらもさながら英国の80年代ギターポップのような瑞々しい響きを感じさせる素晴らしい演奏だった。
弾けるようなポップさを秘めたアコースティック・スウィングな曲調とクールで端正な女性ヴォーカルは、さながらフェアグラウンド・アトラクションといったところか。
その曲のタイトルは『魔法をかけさせて』。
どことなく、ザ・ラヴィン・スプーンフルの「魔法を信じるかい?」にも通じるエヴァーグリーンな響きが素敵じゃないか。

そんな感じで彼らの事を知ったのは、僕が弾き語り&DJイベント「コーヒーもう一杯」をスタートさせたばかりの頃だった。
2019年5月に開催した2回目のブッキングで僕は彼らに白羽の矢を立て、コンタクトをとった。
当時はまだお互いに面識がなく、なおかつその時ちょうど活動を休止していたにも関わらず、彼らは出演依頼を快く引き受けてくれたものだ。
そしてイベント当日。
サークル活動で鍛えられた演奏力のダイナミックさは動画で視聴したそれを遥かに凌駕し、ブルーグラスをベースにしつつも現代的なポップセンス溢れる”ブルーグラスポップ”なオリジナル曲の完成度の高さは想像以上だった。
そんなオリジナルに交えて披露したカバー曲も、アース・ウインド&ファイアーの「September」やジャクソン5の「I Want You Back」など、渋いブルーグラスのイメージとはかけ離れたパーティー・チューンをセレクトするセンスが非常に秀逸だった。
彼らの鮮烈さに舌を巻いたのは僕だけではなかったようで、この時の出演がきっかけで他からも声がかかるようになり活動の幅が広がったというから、主催者冥利に尽きるというものだ。

上記のように、抜群の演奏力と現代的なポップセンスが彼らの強力な武器だ。
その両翼を駆使して産み出される、彼らが提唱する”ブルーグラスポップ”は、アコースティック・ミュージックが見直される昨今の音楽シーンにおいても、非常に有効だろう。
むしろ、その卓越した若々しいセンスゆえ、ブルーグラスのパブリックイメージである渋味や郷愁感をあまり感じさせないあたりは彼らの唯一のネックと言えるかもしれないが、そのあたりの円熟味は今後の活動を通して徐々に身に付けてゆくことだろう。
実際、2nd『めがねと水玉』における一部のスローナンバーには、そのあたりの萌芽が見られることは確かである。

以下余談。
それにしても、名古屋大学ブルーグラス同好会。
定期演奏会に行ったことがあるが、サークル内でいくつかのバンドが組まれているほどの構成員が在席する、伝統のあるサークルのようだ。そんな20歳前後の彼らが、ブルーグラスなどという日本においては特殊な立ち位置の米国伝統音楽に興味をもつきっかけって、一体何なのだろうか?
僕のような古いロック好きの視点では、60〜70年代のカントリーロックやフォークロックへのディグがたどり着く境地、といったイメージなのだが。
そのへんもまた、非常に興味深い。

2022.7.5

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