Tom Petty
Wildflowers
Warner Bros : 9362-45759-2
1. Wildflowers 2. You Don’t Know How It Feels 3. Time to Move On 4. You Wreck Me 5. It’s Good to Be King 6. Only a Broken Heart 7. Honey Bee 8. Don’t Fade on Me 9. Hard on Me 10. Cabin Down Below 11. To Find a Friend 12. A Higher Place 13. House in the Woods 14. Crawling Back to You 15. Wake Up Time |
トム・ペティが1994年にリリースした、90年代におけるアメリカン・ルーツ・ロック屈指の名盤。
一番仲の良かった会社の同僚にもらったCDということもあり、個人的にとても思い入れのあるアルバムだ。
アコースティックギターとピアノの繊細な響きが美しい表題曲「Wildflowers」に始まり、力強いドラムとブルースハープの響きが強烈なミディアムナンバー「You Don’t Know How It Feels」、イントロの軽やかなアルペジオが印象的なカントリーフォーク「Time To Move On」という冒頭3曲が素晴らしく、名盤っぷりを際立たせている。
他にも、ざっくりとした開放的なギターロック、繊細なフォークロック、ピアノが切ないマイナー調のナンバーなど、サウンドは多彩なれど、この味わい深いジャケットのように、全体的には黄昏れた雰囲気で見事に統一。
これをトムとの共同でプロデュースしたのが、レッチリやビースティーボーイズなど当時の先鋭的なヒップホップやオルタナティヴ・ロックのプロデューサーとして名高いリック・ルービンというのが驚きだ。
元々は2枚組として制作されていたそうで、2020年には当時のアウトテイクを網羅した完全版がCD4枚組とアナログ3枚組のフォーマットでリリース。
僕はアナログを購入し、時折ひっぱり出してはアートワーク共々楽しんでいる。

このアルバムのヴィンテージな音にはやはりアナログがしっくりくるが、レンタカーでドライブをする時には友人にもらったCDを必ず持っていく。そういう聴き方がとてもよく似合うアルバムだ。
派手さは無いものの、聴けば聴くほど味が深まるようなこのアルバム。
70年代のディランやニール・ヤングの名作群に1歩も引けを取らない、アメリカン・ロックの永遠の名盤だと思う。
余談だが、その友人とは20代の頃ずっと一緒にフジロックに行っていた。
苗場に行く道すがらこのアルバムもよく聴いていて、いつかトム・ペティもフジロックで観たいな、と話していたことを懐かしく思う。
それだけに、トム・ペティが2017年に自ら命を断ってしまったことは、残念でならない。
2022.6.6