冬支度

Biography

関西を拠点に活動するアコースティック・ユニット。
洋邦のルーツ音楽からの影響をふんだんに受けた日本語詞によるフォークミュージックを奏でる。

2013年に1stミニアルバム『オールドハイツ・ミュージック』をリリース。
2020年1stアルバム『こんな風に』をリリース。
定期的にライブイベント『靴音までメロウに』を開催。

“冬支度”という名前の由来は細野晴臣の名盤『HOSONO HOUSE』に収録の名曲「冬越え」から。

冬支度との出会いは、2019年10月の名古屋・鶴舞のK.Dハポンだった。
河合愼五率いるアコースティックユニット・百景借景の主催イベントへ、大阪からのゲストとして出演していた。
この時僕は既に自身のイベント「コーヒーもう一杯」をスタートさせ、アコースティック・スタイルで演奏するミュージシャンやグループに強い興味を持っていて、その中でまず百景借景のことを知る。
ツイッターで「フェアポート・コンヴェンションのような愛知のグループ」と紹介されていたことで知った百景借景だったが、それをツイートしたのが冬支度の安田さんだった。
そんな表現をした冬支度にも僕は興味を持ち、いつかライブを観ようと思っていたのだ。

冬支度の音楽は、一言で言えば「大人のフォークロック」だ。
アダルト・オリエンテッド・フォーク(AOF)とでも呼びたい。
安田さんのアコースティック・ギターの音色を軸に、斎藤さんのフルートやアコーディオンで味付けされた演奏は豊潤な響きに満ちていて、落ち着き払ったミディアム・ナンバーに飄々としたフォークポップ、スピーディーなインスト・ナンバーまで、多彩なスタイルにも柔軟に対応する。
サウンド的にはラヴィン・スプーンフルやダン・ヒックスなど、60年代アメリカン・フォークロックに日本的な情緒を加えた趣き。
音もさることながら、声高に感情を吐露することのない淡々とした歌詞がまた良い。

名曲が多い彼らだが、僕が特に好きなナンバーで「顔立ち」という、亡くなってしまった友人の通夜に参列した様子を綴った歌がある。
シチュエーションとしてはとても悲しい内容だが、素朴なアコースティック・サウンドにのせて場面場面が丁寧に歌われるその歌は綻びを見せることなく淡々と進んでゆく。
しかし、終盤にほんの少しだけ主人公の感情が垣間見られる場面が綴られている。

真っ直ぐ伸びる幹線道路に ずっと先まで並んでいる信号が 一斉に青になった
 
このまま進めという事かな

この匂わせ方が実に上手く、人生の妙味を感じさせるのだ。

音楽には直接関係ないが、冬支度は人間的にも魅力的な人達だ。
河合さんに紹介してもらった安田さんは、落ち着いていて物静かながらも気さくな方で、斎藤さんもとても楽しげな方だった。ミュージシャンやバンドマンにありがちな、妙にシャイなところがあまり無いのも個人的には素敵に思えた。
彼らのライブのMCにおける関西弁でのかけあいはいつも飄々としていて、自然な会話の中でも毎回ほっこりさせられる。
それでいて、安田さんは昔ハードコア・バンドでギターを弾いていたりするから面白い。人に歴史ありだ。

そしてこの後、冬支度にはサポートでドラムやパーカッションを担当していた渡瀬千尋が正式加入し、フォークデュオからフォークユニットとなる。
アジマ君も絶賛していたテクニックを持つ渡瀬さんも、実は面白いエピソードに事欠かない方。そういう意味でも冬支度のメンバーとしてうってつけだったりする。

関西を拠点にして自主イベントを中心に精力的に、しかし気負うことなく楽しげに活動を続ける冬支度。
今後も彼らの素晴らしいライブを観続けられれば、と思う。

2022.6.7

Discography

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